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音楽について考えていることやライブレポートを書きます

4/30 BaseBallBear/日比谷ノンフィクションⅤ@日比谷野外音楽堂

 BaseBallBearのギター・湯浅将平の失踪、そして脱退という衝撃的なニュースから、早2か月。

 彼がいなくなってから初めての東京での公演ということで、ファンが詰めかけ、チケットは当然ソールドアウト。当日券も出ないほど、満杯の野音公演。

 

 今回はフルカワユタカ(元ドーパン)、田渕ひさ子(元ナンバガ)、ハヤシ(POLYSICS)、石毛輝the telephones)という豪華なサポートギタリスト4名を迎えてのライブとなった。(なんと全員別バンドでギタボ担当の人々。サポートにしては豪華すぎるメンツ)

 

 期待半分、不安半分といった気持ちでステージを見つめていると、いつものSEが流れ出す。メンバー3人とフルカワさんが登場。いつもと違う光景に、ちょっと胸がきゅっとした。

 SEを止めようと手を挙げる小出佑介(vo&gt)が、ガッツポーズをしているみたいに見えて、彼らの闘志を感じた。

 そして1曲目、「「それって、for誰?」part1 」でライブがスタート。スター・フルカワさんのギターは初体験だったけれど、さすがスター、めちゃめちゃに上手いし、カッコいい。本当はベボベを食っちゃうくらいの人だけど、ちゃんとサポートに徹しているのもまた。

 12月に観たCの再現ライブを思い出して、湯浅がいなくなった事実を改めて突きつけられてしまった。目頭が熱くなったけれどグッと耐えた。

 「ボーイミーツガール?青春?今日来てるやつらはみんな、解散とか活動休止経験してきてるから。青春終わらせるよ。毒を注入して帰るよ。」というようなことをメンバーに語りかけたスター。そうか。ベボベはここから、本当の意味でオトナになるのだな、としみじみしてしまった。

 「不思議な夜」、「曖してる」と、最新アルバム『C2』収録曲を続けて披露し、フルカワ氏はいったんステージから捌け、続いて登場したのは-

 

 そう、田渕ひさ子。これが胸アツってやつか。

 私の世代からするともはや伝説のバンド・ナンバーガールの鬼ギタリスト。

 メンバーも彼らのことが大好きで、4人で東京でのラストライブを観に行ったらしい。夕方ジェネレーションがナンバガのまがいものって叩かれて、今でいう“炎上”した、という話をしていた。でも、そこから成長して今の彼らの音楽があって、ここまで続けてきてくれたことがただただ嬉しい。

 そんなベボベが、彼女と共演を果たす日が来るなんて。そしてそれが、湯浅の失踪・脱退のせい、というか、おかげ、というのは何たる皮肉。

 実は田渕さんの音をイメージしてつくった、という「こぼさないでshadow」。そして、かつてのベボベの代名詞と言っても過言ではない青春ソング「short hair」、「PERFECT BLUE」。

 なんとニクイ選曲!爽やかな楽曲が、田渕さんのギターが加わることで、“騒やかな演奏”に。メンバーが向かい合って演奏する中、ナンバガの伝説のライブ映像で観たのと同じように、ひたすら自分の手元のあたりを見て鬼のようなギターを弾く姿に惚れ惚れした。

 田渕さんが捌けるときに「可愛い~」と言っていたこいちゃん、完全にファン目線だったな(笑)

 

 そして、メンバーの誰よりも目立つ、オレンジのつなぎ、バイザーといういつも通りの姿で登場したのはハヤシさん。憧れの田渕さんとの共演を終えたからか、メンバーもちょっと肩の力が抜けてきた雰囲気だった。

 こいちゃんとは特撮仲間らしく、観客置いてけぼりのマニアックトークでひとしきり盛り上がり、「ぼくらのfrai away」。ハヤシさんもおそらくモテなかったことを思うとピッタリなチョイス。

 そして疾走感あふれるナンバー、「UNDER THE STAR LIGHT」。ハヤシさんのピロピロギター、しっくりきすぎて怖いくらい。

 最後は、普段はやらなそうな曲なのであえてお願いしたという「どうしよう」。POLYSICSでは使わないというテレキャスが新鮮だった。「青春が終わって知った 青春は終わらないってこと」という言葉の意味を考えてしまって、少し沈んだ。

 ちなみに「TOISU!」禁止令が出ていたけど、最後の最後で叫んでいた。

 

 5人目のサポートギタリストは石毛さん。ハヤシに続いてハイテンションなイメージのある彼だけど、同世代であること、そして湯浅失踪後初のライブ『こなそんフェス』でサポートを務めたことなどからも、ベボベファンからは厚い支持を受けているという印象だ。

 彼との1曲目は「17才」。4人で過ごしただろう青春時代を勝手に思って、胸の奥がきゅっとした。

 2曲目は「changes」。この辺から涙腺崩壊してぶっさいくな顔で観ていた。「春が息吹く」ってなんて綺麗な言葉。

 続く3曲目はなんと、「十字架YOU and I」。この曲はライブでもよく披露されているのだが、MCやインタビューであまり話さない湯浅がダンスする、というのが定番のパフォーマンス。(通称、ダンス湯浅将平といいます 気になる方はググってください)

 そのため、湯浅脱退後のライブでこの楽曲を演奏すると決めるのは彼らなりの覚悟が必要だったのではないかなと。むしろ、意地だったのかもしれないけれど。

 実は、4人でのラストライブとなってしまったCDJでもこの曲を演奏していて、フェスでマイナーなアルバム曲ということで、超アウェイの中、踊っていた彼のことがよぎった。

 で、その曲を受け入れた石毛さんも相当覚悟が必要だったろうなと思ってしまった。ファンから叩かれたり不満を言われたりすることを承知で、彼なりにパフォーマンスしている姿が堪らなかった。

 

 ここから再びフルカワさんがステージに。「ホーリーローリーマウンテン」、「カシカ」と共に回ってきた『C2』ツアーでも演奏してきた楽曲が続いた。

 そして「真夏の条件」―これもなかなか歴史の古い曲で、ギターの目立つ楽曲。当たり前だろと言われそうだけど、スターはギターがうまいんだよ、聴かせる演奏だし、音もなんだか分厚いし。湯浅が脱退して彼らのライブが大きく変化していることに、心を抉られた。

 そのまま「LOVE MATHEMATICS」。ライブでは盛り上がる曲で、いつもならただ「楽しいな~」としか思わないのだけど、走馬灯のように4人のライブが頭を巡って、泣けてしまった。

 -これからはこの3人が、BaseBallBearです。

 と言い切る小出の姿に、「俺たちは前に進むよ。君たちはどうすんの?」と試されているような気持ちになった。私たちはもう、食らいついていくしかない。たぶんまだ悲しいし辛いけど、ここでグズグズと泣いている場合じゃない。たぶん彼らはもっと面白いバンドになるし、良い音をたくさん作ってたくさん鳴らす。それを絶対に見逃したくない。

 ラストは「HUMEN」。

 

 そしてアンコール。ステージには3人。ここで初めて彼の不在が浮き彫りになった。右端が寂しい。こいちゃんも、片腕を失ったという表現を使っていたけれど、本当にその通りだ。我が身を切られるような痛み。

 ここで、年内にアルバムを制作して、ツアーをやると宣言。4人の音にこだわっていた彼らだけど、次はキーボードやサックスを入れることも考えているようだった。それを話すこいちゃんは、少年のようにワクワクして見えた。メンバーの脱退で絶望していたはずが、このバンドのこれからに可能性を感じている。きっとこのバンドはもっともっと面白くなる。月並みな表現だけど、表現の幅がぐっと広がるはず。

 4人の音にこだわることもロックンロールだけど、メンバーの失踪と脱退という壁を乗り越えて走り出す姿もまた、ロックンロールだ。

 そして3人で演奏する「「それって、for誰?」part.2」。少しだけ音が少なくて、だからこそ歌の強さが伝わってきた。

 ラストは、「The END」。きっと誰もが、同じ人のことを考えていた。彼の人生はつづく。そして、BaseBallBearも、つづく。

 

 今は途方もない願いに思えるけど、いつか、長い長い時が経って、あんなこともあったよな、こっちは大変だったんだよ、なんて、笑えるようになったら。

 また一緒に音を鳴らしてくれなんて言わないから、せめてまた笑いあえるようになってくれたら、と思うのは、ファンのエゴ。でも、ちょっとだけ本気で思ってる。

 

 だから、振り落とされないように、食らいついていくよ、続く限り。